Hans J Wegner(ハンスウェグナー )GE-5302ソファ クッション新規作製、ウェービングベルト・クッションカバー張替え
今回は、お客様がお持ちのソファの修理のご依頼です。
(当店販売のアフターケアは勿論ですが、今回のように他店で購入をされた家具の修理のご依頼も承っております)
Hans J Wegner(ハンスウェグナー )GE-5302ソファのメンテナンス風景をご紹介致します!
ご依頼を頂いた内容は、劣化したウレタンクッションの新規作製と、ウェービングベルト・クッションカバーの張替えです。
〜メンテナンス前の状態〜


ウレタンクッションには劣化やヘタリが見られ、クッションカバーはゆるゆるで、常にシワが入っている状態になっています。
その下のウェービングベルトもゴムが伸びきって、機能していない状態になっていました。
それでは、メンテナンスを開始します!
まずは、ウェービングベルトの張替えを行います。
ベルトの固定強度や枠自体の強度をより高める為に、元々のベルトが固定されていた穴を塞ぎます。


また、お客様より硬めの座り心地のご希望を頂いたので、ウェービングベルトの本数を増やして張り付けました。

次に、ウレタンクッションを作製していきます。
ウレタンの厚みを増やしたり、バネ入りのクッションに変更したりと、様々なオプションがございますが、
今回は、現在使用しているクッションカバーも引き続き使用されたいとの事で、
現在のカバーに合わせたサイズのウレタンクッションを作製しました。
限られた厚みの中でご希望の座り心地を作り出す為に、
先ほど張替えたウェービングベルトの上に、様々な組み合わせのウレタンを置いて、
実際に座りながら、硬過ぎず、柔らか過ぎない仕上がりを見つけ出します。


背もたれと座面で使用するウレタンを変え、数種類のウレタンを重ねて仕上げました。
クッションを裏表ひっくり返しても同じ座り心地で使用できるように仕上げています。
(当店販売のアフターケアは勿論ですが、今回のように他店で購入をされた家具の修理のご依頼も承っております)
Hans J Wegner(ハンスウェグナー )GE-5302ソファのメンテナンス風景をご紹介致します!
ご依頼を頂いた内容は、劣化したウレタンクッションの新規作製と、ウェービングベルト・クッションカバーの張替えです。
〜メンテナンス前の状態〜




ウレタンクッションには劣化やヘタリが見られ、クッションカバーはゆるゆるで、常にシワが入っている状態になっています。
その下のウェービングベルトもゴムが伸びきって、機能していない状態になっていました。
それでは、メンテナンスを開始します!
まずは、ウェービングベルトの張替えを行います。
ベルトの固定強度や枠自体の強度をより高める為に、元々のベルトが固定されていた穴を塞ぎます。




また、お客様より硬めの座り心地のご希望を頂いたので、ウェービングベルトの本数を増やして張り付けました。


次に、ウレタンクッションを作製していきます。
ウレタンの厚みを増やしたり、バネ入りのクッションに変更したりと、様々なオプションがございますが、
今回は、現在使用しているクッションカバーも引き続き使用されたいとの事で、
現在のカバーに合わせたサイズのウレタンクッションを作製しました。
限られた厚みの中でご希望の座り心地を作り出す為に、
先ほど張替えたウェービングベルトの上に、様々な組み合わせのウレタンを置いて、
実際に座りながら、硬過ぎず、柔らか過ぎない仕上がりを見つけ出します。




背もたれと座面で使用するウレタンを変え、数種類のウレタンを重ねて仕上げました。
クッションを裏表ひっくり返しても同じ座り心地で使用できるように仕上げています。
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カイクリスチャンセン ダイニングチェア No.42のメンテナンス Part②
カイクリスチャンセン ダイニングチェア No.42のメンテナンス Part②です。
前回からの続きで、
No.42の主に壊れてしまう箇所2つ目からご紹介したいと思います。
前回の記事を読まれていない方は、こちらからご覧頂けます。⬇︎
https://decobocovintage.blog.fc2.com/blog-entry-12.html
壊れてしまう箇所2つ目は、背もたれ内部のベニヤ板です。
内部では、このようにして背板に金属の金具が取り付けられています。

こちらも、繰り返しの使用により金具の固定が緩み、
緩んでいる状態で使用し続けると、下画像のように金具付近のベニヤが割れてしまいます。

合板は強度の問題で再接着の修理ができないので、
このように割れてしまっている場合は、新規の背板を作製します。



こちらが新規作製した背板です。(金具は再利用)
デザインやアールなど、オリジナルを細かく再現しています。
背もたれを取り付けたら、ネジ隠しの木栓(キャップ)を取り付けます。

キャップの底面とネジの間に隙間ができてしまうと、使用するにつれてネジが緩む恐れがあるので、
それぞれのチェアに合わせてキャップの厚みを変えたりなど、ネジの緩みを防ぐ工夫もしています。

次に、椅子全体の補強として、下記写真のような隅木加工というものを行っております。

こちらの隅木を取り付けるだけで、椅子の強度は格段に増します。
また、元々No42は、海外に多く輸出されていた為、
何脚もスタッキングできるよう座面が取り外し可能となっています。
座面が固定されていないと、椅子全体の強度も低くなり、
さらに、座っている時や立ち上がる際に座面が動いたり、浅く座った際に座面が外れて危険な場合もあります。
この隅木を付けることで、椅子の強度以外にも、座面の固定も可能になります。
ただし、新たなパーツを取り付ける形となりますので、
100%ビンテージのオリジナルではなくなってしまうという考え方もできます。
(座面裏側の加工ですので、普段使用する際の見た目は変わりません。)
隅木加工・座面固定については、必ず施す加工ではなく、
修理や購入を頂く際に、オプションの加工として提案させて頂いております。
座面固定をする、しないに限らず、
1脚1脚の本体の枠に合わせて、座面の木枠の加工を行い、はめ込んだ際に座面が動かないよう調整を行っています。
動かないようにと、座面が大きくなりすぎると、接合部分に問題が生じる為、
キツすぎず、かつ座面が動かない仕上がりを狙って加工しています。
最後に、座面の張替えです。
こちらが、上記で加工の説明をした、座面の木枠です。

基本的に、タッカーの芯は、すべて綺麗に取り除いています。
この状態で、本体の枠に収めてみて、張り替える生地の厚み分も考慮した上で、加工を行います。
中には、このようにバラバラになってしまうものもあります。

その場合は接着・固定を行い、緩みがないことを確認して張り替えを行います。

今回は、ウレタン材の下に張り付ける、こちらの布バネをピックアップしたいと思います。

ビンテージのものには通常、格子状のウェービングベルトが張ってあります。
しかし私たちは、あえてウェービングテープを使用せずに、こちらの布バネを選んで使用しています。
布バネとウェービングベルトの大きな違いは、「面と線」です。
面で張る布バネか、線で張るウェービングテープかによって、様々な違いが生まれます。
まず素材に関して、オリジナルに使用されているウェービングベルトは硬めのゴム素材で、
劣化すると硬化して、次第にボロボロになって切れてしまいます。(輪ゴムと同じ)
そこで、現在の改良されたウェービングベルトを使用した場合、
素材自体の耐久性は高まっているのですが、椅子本体へのダメージが大きくなってしまいます。
その理由として、
現在のウェービングベルトは、オリジナルの素材よりも伸縮性が高い素材となっているからです。
面で張る布バネと比較した場合でも、ウェービングは細長い線である為、伸縮性はさらに高いです。
オリジナルの座り心地を、現在の伸縮性の高いウェービングベルトで再現するには、
格子状に編み込むとは言っても、かなり強く引っ張った状態で張らなければいけません。
そうすると、椅子本体の枠は常に非常に強い力で引っ張られている状態となり、
さらに人間が立ったり座ったりを繰り返すと、椅子本体が荷重に耐えられずに歪んだり、壊れたりしてしまいます。
逆に、ウェービングを本体の枠が壊れない程度の引っ張り具合で張ると、座った際の沈みが大きくなり、
背もたれとのバランスなど、設計者の意図した座り心地にはなりません。
その点布バネは、荷重を面で支えられることで本体へのダメージも少なく、素材の耐久性もあり、
柔らかすぎず、硬すぎない伸縮性を持っている為、オリジナルに近い、硬めの座り心地を再現できます。
また、素材自体が薄いので、全体としての厚みが出ないという良い点もあります。
このように布バネは、素材や椅子の耐久性、見た目など、全てをカバーしてくれます。
布バネの上に乗せるウレタン材も、
非常に高密度で良質なものを使用しています。


以上、カイクリスチャンセンNo42 メンテナンスのご紹介でした!
買い付けを行ったものだけでなく、
他店で購入されたお客様のお持ちのNo.42チェアの、
・アーム修理
・新規背板作製 *背もたれ内部の金具は再利用となります。
・隅木加工、座面固定
・生地の張替え、布バネ・ウレタン交換
など承っておりますので、お気軽にご相談ください。
ご覧頂き、ありがとうございました!
こちらより、カイクリスチャンセンの過去に販売した商品や、メンテナンス後の状態などをご覧頂けます。
https://www.deco-boco.com/type/vintage/genre/designers-item/kai-kristiansen
前回からの続きで、
No.42の主に壊れてしまう箇所2つ目からご紹介したいと思います。
前回の記事を読まれていない方は、こちらからご覧頂けます。⬇︎
https://decobocovintage.blog.fc2.com/blog-entry-12.html
壊れてしまう箇所2つ目は、背もたれ内部のベニヤ板です。
内部では、このようにして背板に金属の金具が取り付けられています。

こちらも、繰り返しの使用により金具の固定が緩み、
緩んでいる状態で使用し続けると、下画像のように金具付近のベニヤが割れてしまいます。

合板は強度の問題で再接着の修理ができないので、
このように割れてしまっている場合は、新規の背板を作製します。





こちらが新規作製した背板です。(金具は再利用)
デザインやアールなど、オリジナルを細かく再現しています。
背もたれを取り付けたら、ネジ隠しの木栓(キャップ)を取り付けます。

キャップの底面とネジの間に隙間ができてしまうと、使用するにつれてネジが緩む恐れがあるので、
それぞれのチェアに合わせてキャップの厚みを変えたりなど、ネジの緩みを防ぐ工夫もしています。

次に、椅子全体の補強として、下記写真のような隅木加工というものを行っております。


こちらの隅木を取り付けるだけで、椅子の強度は格段に増します。
また、元々No42は、海外に多く輸出されていた為、
何脚もスタッキングできるよう座面が取り外し可能となっています。
座面が固定されていないと、椅子全体の強度も低くなり、
さらに、座っている時や立ち上がる際に座面が動いたり、浅く座った際に座面が外れて危険な場合もあります。
この隅木を付けることで、椅子の強度以外にも、座面の固定も可能になります。
ただし、新たなパーツを取り付ける形となりますので、
100%ビンテージのオリジナルではなくなってしまうという考え方もできます。
(座面裏側の加工ですので、普段使用する際の見た目は変わりません。)
隅木加工・座面固定については、必ず施す加工ではなく、
修理や購入を頂く際に、オプションの加工として提案させて頂いております。
座面固定をする、しないに限らず、
1脚1脚の本体の枠に合わせて、座面の木枠の加工を行い、はめ込んだ際に座面が動かないよう調整を行っています。
動かないようにと、座面が大きくなりすぎると、接合部分に問題が生じる為、
キツすぎず、かつ座面が動かない仕上がりを狙って加工しています。
最後に、座面の張替えです。
こちらが、上記で加工の説明をした、座面の木枠です。

基本的に、タッカーの芯は、すべて綺麗に取り除いています。
この状態で、本体の枠に収めてみて、張り替える生地の厚み分も考慮した上で、加工を行います。
中には、このようにバラバラになってしまうものもあります。

その場合は接着・固定を行い、緩みがないことを確認して張り替えを行います。

今回は、ウレタン材の下に張り付ける、こちらの布バネをピックアップしたいと思います。

ビンテージのものには通常、格子状のウェービングベルトが張ってあります。
しかし私たちは、あえてウェービングテープを使用せずに、こちらの布バネを選んで使用しています。
布バネとウェービングベルトの大きな違いは、「面と線」です。
面で張る布バネか、線で張るウェービングテープかによって、様々な違いが生まれます。
まず素材に関して、オリジナルに使用されているウェービングベルトは硬めのゴム素材で、
劣化すると硬化して、次第にボロボロになって切れてしまいます。(輪ゴムと同じ)
そこで、現在の改良されたウェービングベルトを使用した場合、
素材自体の耐久性は高まっているのですが、椅子本体へのダメージが大きくなってしまいます。
その理由として、
現在のウェービングベルトは、オリジナルの素材よりも伸縮性が高い素材となっているからです。
面で張る布バネと比較した場合でも、ウェービングは細長い線である為、伸縮性はさらに高いです。
オリジナルの座り心地を、現在の伸縮性の高いウェービングベルトで再現するには、
格子状に編み込むとは言っても、かなり強く引っ張った状態で張らなければいけません。
そうすると、椅子本体の枠は常に非常に強い力で引っ張られている状態となり、
さらに人間が立ったり座ったりを繰り返すと、椅子本体が荷重に耐えられずに歪んだり、壊れたりしてしまいます。
逆に、ウェービングを本体の枠が壊れない程度の引っ張り具合で張ると、座った際の沈みが大きくなり、
背もたれとのバランスなど、設計者の意図した座り心地にはなりません。
その点布バネは、荷重を面で支えられることで本体へのダメージも少なく、素材の耐久性もあり、
柔らかすぎず、硬すぎない伸縮性を持っている為、オリジナルに近い、硬めの座り心地を再現できます。
また、素材自体が薄いので、全体としての厚みが出ないという良い点もあります。
このように布バネは、素材や椅子の耐久性、見た目など、全てをカバーしてくれます。
布バネの上に乗せるウレタン材も、
非常に高密度で良質なものを使用しています。




以上、カイクリスチャンセンNo42 メンテナンスのご紹介でした!
買い付けを行ったものだけでなく、
他店で購入されたお客様のお持ちのNo.42チェアの、
・アーム修理
・新規背板作製 *背もたれ内部の金具は再利用となります。
・隅木加工、座面固定
・生地の張替え、布バネ・ウレタン交換
など承っておりますので、お気軽にご相談ください。
ご覧頂き、ありがとうございました!
こちらより、カイクリスチャンセンの過去に販売した商品や、メンテナンス後の状態などをご覧頂けます。
https://www.deco-boco.com/type/vintage/genre/designers-item/kai-kristiansen
カイクリスチャンセン ダイニングチェア No.42のメンテナンス Part①
今回は、カイクリスチャンセン(Kai Kristiansen)デザイン、No.42について、
構造やメンテナンス方法などをご紹介したいと思います!
こちらが、No.42です。

北欧ビンテージダイニングチェアの中でも、非常に人気のあるチェアです。
それと同時に、修理のご依頼が比較的多いチェアでもあります。
大切なチェアを、より長く安心してご使用頂ける為に、
デザインを損なうことなく、構造面の補強などを行なっております。
そこで、通常のメンテナンスに加え、
よく壊れてしまう部分の構造や原因、その部分の修理や補強の方法などをご紹介します!
それではメンテナンスを開始します!
初めに、チェア全体のガタつきをチェックします。
買い付けを行ったビンテージのものは、基本的に接合部分のダボや接着剤が緩み、ガタつきがあります。
接着剤が効いている部分を無理に分解しようとすると、木部にヒビや割れが生じてしまうので、
1つ1つの接合部分の状態を確認した上で、分解可能かどうかの判断を行い、慎重に、できる限り分解します。
分解ができないと判断された部分は、隙間から接着剤を入れ込んで固定します。

分解できる箇所が多ければ多いほど、
普通の状態では届かない部分まで鉋を使用できたりなど、
より細かい部分まで美しく仕上げを行うことができます。
分解できた箇所は、古い接着剤を綺麗に取り除いて組み上げます。
古い接着剤が残っていると、新しい接着剤が持つ本来の効き目を出せない為です。

本体を組み上げたら、次は背もたれのチェックを行います。
No.42の背もたれは、前後に可動する仕様となっています。
食事や作業時は前に倒し、少しリラックスしたい時には後ろに倒したりと、
場面や座り方に合わせて背もたれが動いてくれるので、快適に座ることができます。
しかし、この可動部分が最も壊れやすい箇所でもあるのです。
主に壊れてしまう箇所1つ目は、木部のアームです。
可動式背もたれの仕組みは、背もたれから出る金属の棒(下記写真)を、
アームに開けられた大きめの穴に差し込み、その穴の中で前後に動くというものです。

背もたれの繰り返しの可動やモタレ時の荷重は、こちらの金属の棒を木で受け止める(支える)形となり、
金属の方が硬い為、もちろん木は負けてしまいます。
少しずつ木は押し潰され、最終的に欠けや破損が起きてしまい、背もたれが外れてしまうこともあります。
上記のような破損が起こらないよう、アームや背もたれに当店独自の工夫や加工を行っております。
(実際に修理をご依頼のお客様には、詳しい内容を画像などにてご説明した上で修理しております。)
万が一アームが破損してしまった場合でも、修理可能です。
新しい材料の中から、できる限り木目の近い部分を選び抜き、
少し大きめに製材したものを、接着剤と、必要に応じて裏面(下)からのビスや隠し釘で固定します。
(現在ローズウッド材の入手が困難な為、素材がローズウッドの場合は、主に黒檀を使用しています。)

その後、形の削り出しやビスの目隠し、穴あけ加工、さらに当店独自の加工も行い、破損の再発を防ぎます。
最後に塗装で色やツヤを合わせることで、より目立ちにくく仕上げます。
こちらが完成後の状態です。

*一つ前の塗装前写真とこちらの完成後の写真は、素材が違う別々のチェアです。
少し長くなりそうなので、Part①はここまでとさせて頂きます!
Part②では、
2つ目の主に壊れてしまう箇所に加え、その他の補強や座面張替えの拘りなどをご紹介したいと思います。
是非ご覧下さい。
こちらより、カイクリスチャンセンの過去に販売した商品や、メンテナンス後の状態などをご覧頂けます。
https://www.deco-boco.com/type/vintage/genre/designers-item/kai-kristiansen
構造やメンテナンス方法などをご紹介したいと思います!
こちらが、No.42です。


北欧ビンテージダイニングチェアの中でも、非常に人気のあるチェアです。
それと同時に、修理のご依頼が比較的多いチェアでもあります。
大切なチェアを、より長く安心してご使用頂ける為に、
デザインを損なうことなく、構造面の補強などを行なっております。
そこで、通常のメンテナンスに加え、
よく壊れてしまう部分の構造や原因、その部分の修理や補強の方法などをご紹介します!
それではメンテナンスを開始します!
初めに、チェア全体のガタつきをチェックします。
買い付けを行ったビンテージのものは、基本的に接合部分のダボや接着剤が緩み、ガタつきがあります。
接着剤が効いている部分を無理に分解しようとすると、木部にヒビや割れが生じてしまうので、
1つ1つの接合部分の状態を確認した上で、分解可能かどうかの判断を行い、慎重に、できる限り分解します。
分解ができないと判断された部分は、隙間から接着剤を入れ込んで固定します。

分解できる箇所が多ければ多いほど、
普通の状態では届かない部分まで鉋を使用できたりなど、
より細かい部分まで美しく仕上げを行うことができます。
分解できた箇所は、古い接着剤を綺麗に取り除いて組み上げます。
古い接着剤が残っていると、新しい接着剤が持つ本来の効き目を出せない為です。

本体を組み上げたら、次は背もたれのチェックを行います。
No.42の背もたれは、前後に可動する仕様となっています。
食事や作業時は前に倒し、少しリラックスしたい時には後ろに倒したりと、
場面や座り方に合わせて背もたれが動いてくれるので、快適に座ることができます。
しかし、この可動部分が最も壊れやすい箇所でもあるのです。
主に壊れてしまう箇所1つ目は、木部のアームです。
可動式背もたれの仕組みは、背もたれから出る金属の棒(下記写真)を、
アームに開けられた大きめの穴に差し込み、その穴の中で前後に動くというものです。


背もたれの繰り返しの可動やモタレ時の荷重は、こちらの金属の棒を木で受け止める(支える)形となり、
金属の方が硬い為、もちろん木は負けてしまいます。
少しずつ木は押し潰され、最終的に欠けや破損が起きてしまい、背もたれが外れてしまうこともあります。
上記のような破損が起こらないよう、アームや背もたれに当店独自の工夫や加工を行っております。
(実際に修理をご依頼のお客様には、詳しい内容を画像などにてご説明した上で修理しております。)
万が一アームが破損してしまった場合でも、修理可能です。
新しい材料の中から、できる限り木目の近い部分を選び抜き、
少し大きめに製材したものを、接着剤と、必要に応じて裏面(下)からのビスや隠し釘で固定します。
(現在ローズウッド材の入手が困難な為、素材がローズウッドの場合は、主に黒檀を使用しています。)


その後、形の削り出しやビスの目隠し、穴あけ加工、さらに当店独自の加工も行い、破損の再発を防ぎます。
最後に塗装で色やツヤを合わせることで、より目立ちにくく仕上げます。
こちらが完成後の状態です。


*一つ前の塗装前写真とこちらの完成後の写真は、素材が違う別々のチェアです。
少し長くなりそうなので、Part①はここまでとさせて頂きます!
Part②では、
2つ目の主に壊れてしまう箇所に加え、その他の補強や座面張替えの拘りなどをご紹介したいと思います。
是非ご覧下さい。
こちらより、カイクリスチャンセンの過去に販売した商品や、メンテナンス後の状態などをご覧頂けます。
https://www.deco-boco.com/type/vintage/genre/designers-item/kai-kristiansen
オリジナルオットマン作製
今回は、ビンテージのリクライニングチェア専用の
オリジナルのオットマンの作製風景をご紹介したいと思います。
こちらが、張替え前の状態のチェアです。(木部はメンテナンス済み)

このチェアのサイズや脚の形などを元に、オットマンのデザインを考えて行きます。
店舗にて、お客様とデザインについての話し合いを重ね、
お客様のご希望を元に、構造面にも考慮しながら、最適なデザインに近づけて行きました。
大方のデザインが決まりますと、お客様により分かりやすく想像して頂く為に、
このようなラフスケッチを描いて、全体のデザインや構造のご説明を致しました。

最終的に、2通りのデザインに絞りまして、
どちらを選ぶかによって、接合部分のホゾ加工の方法が変わってくる為、
外見だけではなく、内部の細かい点までご説明をさせて頂き、ご検討頂きました。
少し傾斜のあるデザインで、材料はチェアと同じチーク。
塗装は、お客様のご希望によりオイル仕上げに決定しました。
それでは作製開始します!
まずは、全ての部材の寸法・形・構造などを、図面に引いていきます。

図面と言うと、職人以外の人がパソコンなどを使用して作成するイメージですが、ここでは違います。
職人自ら、このように図面を作成します。
作業を始める前の時点で、全ての設計や構造、
完成状態の立体的なイメージが完璧に頭に入っているからこそできる、これぞ職人技です。
この図面を元に製材・ホゾ加工・削り出しをしていきます。


さらにテーパー加工を加え、チェアの形に合わせてパーツを作製します。


それぞれのパーツを接合し、組み上がった状態で、角のアール出しや接合部分の仕上げを行います。


最後にオイル塗装を行い、木部は完成です!

オットマンのクッションは、高さや硬さもお選び頂き、作製しました。
お客様にお選び頂いた生地にて、オットマンとチェアを張替えて完成です!
また、追加でヘッドレストも作製させて頂きました。
ヘッドレストは、お好みの高さに調整可能で、取り外しもできます。



こちらが、お届け風景です。

お持ちのソファ&オットマンセットと合わせて頂き、素敵な空間にして頂きました。
ご購入、オットマン作製のご依頼を頂き、誠にありがとうございました。
今回のご依頼同様、ビンテージのソファやお持ちのチェアに合わせてオリジナルのオットマンの製作が可能です。
セットのオットマンが無い、またはなかなか見つからないソファをお持ちの方など、お気軽にお問い合わせください。
また、下記より当店で作製したオリジナル家具をご覧頂けます。
https://www.deco-boco.com/original-custommade
オリジナルのオットマンの作製風景をご紹介したいと思います。
こちらが、張替え前の状態のチェアです。(木部はメンテナンス済み)

このチェアのサイズや脚の形などを元に、オットマンのデザインを考えて行きます。
店舗にて、お客様とデザインについての話し合いを重ね、
お客様のご希望を元に、構造面にも考慮しながら、最適なデザインに近づけて行きました。
大方のデザインが決まりますと、お客様により分かりやすく想像して頂く為に、
このようなラフスケッチを描いて、全体のデザインや構造のご説明を致しました。

最終的に、2通りのデザインに絞りまして、
どちらを選ぶかによって、接合部分のホゾ加工の方法が変わってくる為、
外見だけではなく、内部の細かい点までご説明をさせて頂き、ご検討頂きました。
少し傾斜のあるデザインで、材料はチェアと同じチーク。
塗装は、お客様のご希望によりオイル仕上げに決定しました。
それでは作製開始します!
まずは、全ての部材の寸法・形・構造などを、図面に引いていきます。


図面と言うと、職人以外の人がパソコンなどを使用して作成するイメージですが、ここでは違います。
職人自ら、このように図面を作成します。
作業を始める前の時点で、全ての設計や構造、
完成状態の立体的なイメージが完璧に頭に入っているからこそできる、これぞ職人技です。
この図面を元に製材・ホゾ加工・削り出しをしていきます。





さらにテーパー加工を加え、チェアの形に合わせてパーツを作製します。




それぞれのパーツを接合し、組み上がった状態で、角のアール出しや接合部分の仕上げを行います。




最後にオイル塗装を行い、木部は完成です!


オットマンのクッションは、高さや硬さもお選び頂き、作製しました。
お客様にお選び頂いた生地にて、オットマンとチェアを張替えて完成です!
また、追加でヘッドレストも作製させて頂きました。
ヘッドレストは、お好みの高さに調整可能で、取り外しもできます。






こちらが、お届け風景です。


お持ちのソファ&オットマンセットと合わせて頂き、素敵な空間にして頂きました。
ご購入、オットマン作製のご依頼を頂き、誠にありがとうございました。
今回のご依頼同様、ビンテージのソファやお持ちのチェアに合わせてオリジナルのオットマンの製作が可能です。
セットのオットマンが無い、またはなかなか見つからないソファをお持ちの方など、お気軽にお問い合わせください。
また、下記より当店で作製したオリジナル家具をご覧頂けます。
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フリッツハンセン(FRITZ HANSEN) セブンチェア ・アントチェア 座面と脚部の接着修理②
フリッツハンセンのセブンチェア・アントチェアの座面と脚部の接着修理
前回は、座面が外れてしまう原因をご紹介しました。
今回は、前回の内容を踏まえつつ
ではどうすれば座面が外れなくなるのか、その修理の方法や風景を紹介していきます!
前回の記事を読まれていない方は、こちらからご覧頂けます。⬇︎
フリッツハンセン(FRITZ HANSEN) セブンチェア ・アントチェア 座面と脚部の接着修理①
まずは、古い接着剤を、隅々まで完全に取り除きます。
古い接着剤が残っている状態で、その上から新たに接着剤を塗り重ねても、接着剤本来の耐久性は出せません。

重要なことは、接着剤を木の中まで染み込ませることです。
古い接着剤が残っていると、接着剤が木の中まで染み込んでいかない為、重要な作業となります。
次に、接着剤を取り除いた面を平面にしていきます。
こちらが、より耐久性を高め、座面が外れなくなる為に行う最も重要な作業となります。
通常の鉋では、すべての面に刃が届かないので、
セブンチェア・アントチェア修理の為に作製した、こちらの専用の鉋を使用します。

実際に、こちらの鉋で平面を出している様子を、動画にてご紹介します!
宜しければご覧ください。
このようにして平面を出します。
動画に出てきたこちらの作業。
これは、鉋で削った後に、ちゃんと平面が出ているのか、まだ出ていない場所はどこかをチェックしています。
平面が出ていない部分は、物差しが左右にカタカタと動いたり、木と物差しの間に隙間ができたりします。

細部までチェックをした後、実際に取り付けるオリジナルのパーツ(下記説明あり)を乗せて、
本体とパーツの全ての面同士が触れ合っているかを確かめます。
下記画像をご覧いただくと分かるように、
中心部分(赤丸で囲んである部分)がより多く削られ、合板の次の層が見えています。
中心が膨らんで山なりになっていたことが分かりますね。
元々あったネジの穴が大きく広がってしまっている場合は、
穴を埋めて新しいネジの効き目を良くします。

それでは、なぜこの平面を出す作業が最も大事な作業なのでしょうか。
それは、前回のパート①で説明したように、接着剤を全体的に薄く塗る為です。
パーツに接着剤を塗って本体に取り付け、上からプレスした際に、
塗られた接着剤が、全体に均一に広がっていく必要があります。
もし平面が出ていないと・・・

このように、接着剤が溜まり、厚い層となる部分ができてしまいます。
そこから接着剤が割れて、座面が外れる原因に繋がります。
また、ネジが本体に入っていく(効く)部分が少なくなってしまう事も考えられます。
次に、こちらの私たちで作製した、オリジナルのパーツ(右の木のパーツ)を取り付けます。
使用する木材も、適当に選ぶのではなく、接着剤と相性の良い材料を選んで作製しています。
例えば、チーク材は油を多く含んでいる木材なので、接着剤との相性は悪いです。

元々は中心のネジ1本のみで固定してありましたが、
そもそも本体の合板が薄い為、ネジが本体に入っていく(効く)部分はあまり十分ではありません。
そこで、できる限り強度を高める為に、計11本のネジで固定できる仕様にしております。

脚を取り付けます。

最後にキャップを取り付けて、完成です!
普段使用する際には、修理跡などはほとんど分かりません。

以上が、セブンチェア・アントチェア 座面と脚部の接着修理でした。
大切なチェアをできる限り長く使用して頂けるよう
故障の原因を細部まで考え、より良い方法を目指して修理しております。
こちらの修理以外にも、再仕上げやご希望のカラーでの塗りかえなども行なっております。
お気軽にご相談ください。
■フリッツハンセンの修理の実績は、下記よりご覧ください。
https://www.deco-boco.com/type/vintage/genre/repair-cleaning/repair-fritzhansen
DECO BOCO
〒231-0004
神奈川県横浜市中区元浜町4−39元浜町三橋ビル1F
Tel:045-650-5635 Fax:045-650-5636
email@deco-boco.com
http://www.deco-boco.com/
前回は、座面が外れてしまう原因をご紹介しました。
今回は、前回の内容を踏まえつつ
ではどうすれば座面が外れなくなるのか、その修理の方法や風景を紹介していきます!
前回の記事を読まれていない方は、こちらからご覧頂けます。⬇︎
フリッツハンセン(FRITZ HANSEN) セブンチェア ・アントチェア 座面と脚部の接着修理①
まずは、古い接着剤を、隅々まで完全に取り除きます。
古い接着剤が残っている状態で、その上から新たに接着剤を塗り重ねても、接着剤本来の耐久性は出せません。


重要なことは、接着剤を木の中まで染み込ませることです。
古い接着剤が残っていると、接着剤が木の中まで染み込んでいかない為、重要な作業となります。
次に、接着剤を取り除いた面を平面にしていきます。
こちらが、より耐久性を高め、座面が外れなくなる為に行う最も重要な作業となります。
通常の鉋では、すべての面に刃が届かないので、
セブンチェア・アントチェア修理の為に作製した、こちらの専用の鉋を使用します。

実際に、こちらの鉋で平面を出している様子を、動画にてご紹介します!
宜しければご覧ください。
このようにして平面を出します。
動画に出てきたこちらの作業。
これは、鉋で削った後に、ちゃんと平面が出ているのか、まだ出ていない場所はどこかをチェックしています。
平面が出ていない部分は、物差しが左右にカタカタと動いたり、木と物差しの間に隙間ができたりします。


細部までチェックをした後、実際に取り付けるオリジナルのパーツ(下記説明あり)を乗せて、
本体とパーツの全ての面同士が触れ合っているかを確かめます。
下記画像をご覧いただくと分かるように、
中心部分(赤丸で囲んである部分)がより多く削られ、合板の次の層が見えています。
中心が膨らんで山なりになっていたことが分かりますね。
元々あったネジの穴が大きく広がってしまっている場合は、
穴を埋めて新しいネジの効き目を良くします。

それでは、なぜこの平面を出す作業が最も大事な作業なのでしょうか。
それは、前回のパート①で説明したように、接着剤を全体的に薄く塗る為です。
パーツに接着剤を塗って本体に取り付け、上からプレスした際に、
塗られた接着剤が、全体に均一に広がっていく必要があります。
もし平面が出ていないと・・・

このように、接着剤が溜まり、厚い層となる部分ができてしまいます。
そこから接着剤が割れて、座面が外れる原因に繋がります。
また、ネジが本体に入っていく(効く)部分が少なくなってしまう事も考えられます。
次に、こちらの私たちで作製した、オリジナルのパーツ(右の木のパーツ)を取り付けます。
使用する木材も、適当に選ぶのではなく、接着剤と相性の良い材料を選んで作製しています。
例えば、チーク材は油を多く含んでいる木材なので、接着剤との相性は悪いです。

元々は中心のネジ1本のみで固定してありましたが、
そもそも本体の合板が薄い為、ネジが本体に入っていく(効く)部分はあまり十分ではありません。
そこで、できる限り強度を高める為に、計11本のネジで固定できる仕様にしております。

脚を取り付けます。


最後にキャップを取り付けて、完成です!
普段使用する際には、修理跡などはほとんど分かりません。

以上が、セブンチェア・アントチェア 座面と脚部の接着修理でした。
大切なチェアをできる限り長く使用して頂けるよう
故障の原因を細部まで考え、より良い方法を目指して修理しております。
こちらの修理以外にも、再仕上げやご希望のカラーでの塗りかえなども行なっております。
お気軽にご相談ください。
■フリッツハンセンの修理の実績は、下記よりご覧ください。
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