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カイクリスチャンセン ダイニングチェア No.42のメンテナンス Part②

カイクリスチャンセン ダイニングチェア No.42のメンテナンス Part②です。

前回からの続きで、
No.42の主に壊れてしまう箇所2つ目からご紹介したいと思います。

前回の記事を読まれていない方は、こちらからご覧頂けます。⬇︎
https://decobocovintage.blog.fc2.com/blog-entry-12.html

壊れてしまう箇所2つ目は、背もたれ内部のベニヤ板です。

内部では、このようにして背板に金属の金具が取り付けられています。

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こちらも、繰り返しの使用により金具の固定が緩み、
緩んでいる状態で使用し続けると、下画像のように金具付近のベニヤが割れてしまいます。

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合板は強度の問題で再接着の修理ができないので、
このように割れてしまっている場合は、新規の背板を作製します。

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こちらが新規作製した背板です。(金具は再利用)
デザインやアールなど、オリジナルを細かく再現しています。


背もたれを取り付けたら、ネジ隠しのキャップを取り付けます。

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キャップの底面とネジの間に隙間ができてしまうと、使用するにつれてネジが緩む恐れがあるので、
それぞれのチェアに合わせてキャップの厚みを変えたりなど、ネジの緩みを防ぐ工夫もしています。

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次に、椅子全体の補強として、下記写真のような隅木加工というものを行っております。

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こちらの隅木を取り付けるだけで、椅子の強度は格段に増します。

また、元々No42は、海外に多く輸出されていた為、
何脚もスタッキングできるよう座面が取り外し可能となっています。

座面が固定されていないと、椅子全体の強度も低くなり、
さらに、座っている時や立ち上がる際に座面が動いたり、浅く座った際に座面が外れて危険な場合もあります。

この隅木を付けることで、椅子の強度以外にも、座面の固定も可能になります。


ただし、新たなパーツを取り付ける形となりますので、
100%ビンテージのオリジナルではなくなってしまうという考え方もできます。
(座面裏側の加工ですので、普段使用する際の見た目は変わりません。)

隅木加工・座面固定については、必ず施す加工ではなく、
修理や購入を頂く際に、オプションの加工として提案させて頂いております。


座面固定をする、しないに限らず、
1脚1脚の本体の枠に合わせて、座面の木枠の加工を行い、はめ込んだ際に座面が動かないよう調整を行っています。

動かないようにと、座面が大きくなりすぎると、接合部分に問題が生じる為、
キツすぎず、かつ座面が動かない仕上がりを狙って加工しています。



最後に、座面の張替えです。

こちらが、上記で加工の説明をした、座面の木枠です。
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基本的に、タッカーの芯は、すべて綺麗に取り除いています。
この状態で、本体の枠に収めてみて、張り替える生地の厚み分も考慮した上で、加工を行います。

中には、このようにバラバラになってしまうものもあります。
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その場合は接着・固定を行い、緩みがないことを確認して張り替えを行います。
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今回は、ウレタン材の下に張り付ける、こちらの布バネをピックアップしたいと思います。
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ビンテージのものには通常、格子状のウェービングベルトが張ってあります。
しかし私たちは、あえてウェービングテープを使用せずに、こちらの布バネを選んで使用しています。

布バネとウェービングベルトの大きな違いは、「面と線」です。
面で張る布バネか、線で張るウェービングテープかによって、様々な違いが生まれます。

まず素材に関して、オリジナルに使用されているウェービングベルトは硬めのゴム素材で、
劣化すると硬化して、次第にボロボロになって切れてしまいます。(輪ゴムと同じ)

そこで、現在の改良されたウェービングベルトを使用した場合、
素材自体の耐久性は高まっているのですが、椅子本体へのダメージが大きくなってしまいます。

その理由として、
現在のウェービングベルトは、オリジナルの素材よりも伸縮性が高い素材となっているからです。
面で張る布バネと比較した場合でも、ウェービングは細長い線である為、伸縮性はさらに高いです。

オリジナルの座り心地を、現在の伸縮性の高いウェービングベルトで再現するには、
格子状に編み込むとは言っても、かなり強く引っ張った状態で張らなければいけません。
そうすると、椅子本体の枠は常に非常に強い力で引っ張られている状態となり、
さらに人間が立ったり座ったりを繰り返すと、椅子本体が荷重に耐えられずに歪んだり、壊れたりしてしまいます。

逆に、ウェービングを本体の枠が壊れない程度の引っ張り具合で張ると、座った際の沈みが大きくなり、
背もたれとのバランスなど、設計者の意図した座り心地にはなりません。


その点布バネは、荷重を面で支えられることで本体へのダメージも少なく、素材の耐久性もあり、
柔らかすぎず、硬すぎない伸縮性を持っている為、オリジナルに近い、硬めの座り心地を再現できます。

また、素材自体が薄いので、全体としての厚みが出ないという良い点もあります。

このように布バネは、素材や椅子の耐久性、見た目など、全てをカバーしてくれます。

布バネの上に乗せるウレタン材も、
非常に高密度で良質なものを使用しています。


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以上、カイクリスチャンセンNo42 メンテナンスのご紹介でした!

買い付けを行ったものだけでなく、
他店で購入されたお客様のお持ちのNo.42チェアの、
・アーム修理
・新規背板作製 *背もたれ内部の金具は再利用となります。
・隅木加工、座面固定
・生地の張替え、布バネ・ウレタン交換
など承っておりますので、お気軽にご相談ください。


ご覧頂き、ありがとうございました!


こちらより、カイクリスチャンセンの過去に販売した商品や、メンテナンス後の状態などをご覧頂けます。
https://www.deco-boco.com/type/vintage/genre/designers-item/kai-kristiansen


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